なんとなく日誌

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マリ・キスピルクエット(うらら迷路帖)の元ネタ

元ネタを探してみよう

 今回は『うらら迷路帖』に登場する魔女、"マリ・キスピルクエット"。
彼女はメインキャラクターのひとりである小梅にとって憧れの存在だ。さて、この名前に元ネタはあるんだろうか?
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(追記:マリ・ダスピルクエットについて調査しました)
noroue4.hatenablog.com

魔女裁判の被害者"マリ・ダスピルクエット"

 おそらく、元ネタは1600年頃のフランス・バスク地方で起こった大規模な魔女裁判だ。600人以上が犠牲になったとも言われ、その犠牲者のひとりが"マリ・ダスピルクエット(Marie d'Aspilcouette)"。これをもじったのが"マリ・キスピルクエット"なんだろう。小梅に呪いのキスをしてるので、キスキャラとして名前にキスを入れたんだと思う。
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つまり、マリの元ネタは魔女裁判被害者

「魔女は厄介者扱いには慣れっこですわ」
かなしい。
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ただし検索結果は怪しい

 Googleで"マリ・ダスピルクエット"を検索するといかがでしたか系の転載まとめサイトがたくさん引っかかるが、「1570年頃」との記述は誤りで、魔女裁判が行われたのは1609年頃だ。ネット上の日本語でのマリ・ダスピルクエットに関する情報は2010年のYahoo知恵袋が最初で、それを転載したのがまとめサイトの一群なんだろう。

おそらく初出は1912年のピエール・ド・ランクル著:Tableau de l'Inconstance des Mauvais Anges et Demons

 ピエール・ド・ランクル(Pierre de Lancre)はフランス・バスク地方魔女裁判を指導した人物で、600人以上が犠牲になったとされる。マリ・ダスピルクエットはその犠牲者のひとりだが、調べた限りでは裁判記録が残っているわけではなさそうだ。マリ・ダスピルクエットの名前はピエール・ド・ランクル本人の著書にあるのみで、これを「実在の人物」と言い切っていいんだろうか。魔女狩りに狂った人物が魔女について記した本なので、誇張その他が含まれているんじゃないか?という疑問がある。

有名な人物ではなさそう?

 1921年に出版されたThe Witch-Cult in Western Europeでもマリ・ダスピルクエットの名前は紹介されているがあくまで犠牲者のひとりとしての記述であり、特にマリ・ダスピルクエットが有名な人物であるわけではなさそう?日本で知られたのはここ10年ほどの出来事っぽいが、どんな本に載ってたんだろうか。オカルト雑誌?本?ご存じの方がいましたら情報ください。

マリ・ダスピルクエットの名前は急速に広がりつつある?

2002年にトレーディングカードゲームアクエリアンエイジ」に『麻里・ダスピルクエット』が登場。
2014年、「拡散性ミリオンアーサー」に『第二型ダスピルクエット』が登場。
2016年、ソシャゲ「ソウルナイツ」でも『魔女マリ・ダスピルクエット 』が登場。
同人作品でも名前を使われているようで、なにかしらの媒体で印象的な紹介がされたのではないかと思うけど探すのは難しそう?
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