なんとなく日誌

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メモ:百合系作品における「顔がいい」表現の変化

百合系作品で「顔がいい」表現が増えている?

メモ書き。
ここ数年で、百合系作品に「顔がいい」表現が増えているように感じる。
「顔がいい」表現とは、恋愛対象の魅力を「顔がいい」と(心の中で)表現すること。

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「ヒーローさんと元女幹部さん」より
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「ヒーローさんと元女幹部さん」より

まだ商業作品では少ないが、二次創作ではこのような表現が多くなっている。もしかしたら、商業作品にも「顔がいい」表現が増えていくかもしれない。

「顔がいい」表現の意味が変わってきている

従来は、恋愛対象について「顔がいい」と表現すると印象が悪かったはずだ。
例えばこの画像のように、恋人の好きなところを「顔」と表現する人物は「ダメな人」と認識されていた。

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バクマン」より。(ネットで拾った画像ですみません)

やがて君になる」では顔で好きになるのは印象が悪いという意識が窺える一方で、顔重視を肯定的に捉えてもいるようだ。

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やがて君になる」より

そして、上記の「ヒーローさんと元女幹部さん」の例では明らかにポジティブな表現として「顔がいい」が使われている。「顔がいい」の受け止められ方が変化しつつあるのだろうか?

推測:「推し文化」の影響

「推し文化」の定義は曖昧だが、アイドル文化が起源だと言われている。そして、「推しキャラ」概念は既にオタク界隈一般に普及したと言ってもいいだろう。その推し文化の中で増えてきている表現が「推しの顔が良すぎる」というものだ。

twitter検索では、
・2012年には「顔が良すぎる」一か月に25件程度
・2015年10/28には一日に29件
・2017年10/28には一日だけで200件以上(数えきれない)
・2021年10/28一日だけで200件以上(数えきれない)
検索結果を見る限り、2017年頃から「(推しの)顔が良すぎる」という表現が爆発的に広がっているらしい。
(10/28は検索した日がその日だっただけで特に意味はない。2015年は大部分が診断メーカーあなたが嫌われる3つの理由によるもので、「推しの顔が良すぎる」とは異なる用法だった)

時期的に見ても百合作品における「顔がいい」表現の増加と符合するように思える。推し文化でポジティブな表現として受容された「推しの顔が良すぎる」が百合作品に伝播した結果、「顔がいい」がポジティブな表現として使われるようになったのではないだろうか。

「推し文化」と百合作家

具体的な根拠は持っていないが、推し文化の中心は女性で、百合作品の作家には女性が多い印象がある。
推し文化と百合作家の距離が近いことが「顔がいい」表現が百合作品に広まっている原因だろうか?

推測:「まつ毛長いな」の変化?

「まつ毛長いな」がいつからある表現なのかはわからないが、これも百合漫画(というか女性向け漫画)でよくある表現として知られている。
こうやってネタにされているほどだ。

このように容姿を称える文化土壌はすでに存在していた。これをよりストレートな表現としたのが「顔がいい」なのだろうか?

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ロンリーガールに逆らえない
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やがて君になる
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私の百合はお仕事です

Q.元から「かわいい」って表現はあったでしょ?それと同じじゃない?

たしかに「かわいい・美人・かっこいい・イケメン」系の表現はもともと多かった。だけど所作や性格を含んだ曖昧さのある「かわいい」系に対して、よりストレートに容姿に限定された「顔がいい」は敬遠されていたはず。

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「ささやくように恋を唄う」より