「お願いマッスル」ウー!ハー!の謎
ウー!ハー!(もしくはウッ!ハッ!)ってなに?
筋トレアニメ「ダンベル何キロ持てる?」OPテーマ「お願いマッスル」に「ウー!ハー!」という歌詞がある。
また、EDテーマ「マッチョアネーム?」でもバックコーラスで「ウー!ハー!」がある。
これ、いったいなんだろう?筋肉用語なの?と疑問に思った人も多いだろう。
筋肉用語の解説をしてくれているサイトもあるけど、ウー!ハー!の解説は見当たらない。
しかも、なぜか同期のアニメ「まちカドまぞく」EDテーマ「よいまちカンターレ」でもウー!ハー!が使われている。やっぱり筋肉つながり?
しかたない、調査してみるか!
(まちカドまぞくの筋トレ成分は強くないが、主人公のライバルが筋トレ趣味で「趣味:鍛錬。好きなトレーニング:ダンベルカール。好きな筋肉は上腕の・・・」)
(※プロレスの橋本信也の名セリフに「時は来た」があり、作中のメタ子のセリフ「時は来た」とかぶるので、後述の入場曲が元ネタかも。)
とりあえず結論から
筋トレ・ボディビル経験者から話を聞けたわけでもないので断定的には言えないけど、どうやら力を込める際の掛け声「ウッ!ハッ!」からのイメージらしい。
つまり、漫画等であれば「フン!」などと擬音化されているような掛け声だ。
音楽においては結構古くから、力を込めるイメージで「ウー!ハー!」は使われており、何かのきっかけで筋肉・筋トレと結びついたと思われるが、直接的な原因は不明。
「お願いマッスル」「マッチョアネーム?」作者のツイートを見ても『「ウッ…ハッ…」の唸り』と書かれていて、力を込める際の声らしいことが確認できる。
OP優先で作ろうって烏屋先生と話してたんですが
— 篠崎あやと/MassiveNewKrew寿司 (@mnk_jenkinsC) 2019年7月24日
「EDもできました」と送られてきたのコードだけのMIDIに、歌詞ほぼ完成形の烏屋先生仮歌で「マッソーマッソー 筋肉はマッソー」とか異常な数の筋肉用語の叫びとか「ウッ…ハッ…」の唸りとか全部入ってて、
笑いすぎて腹筋100個に割れた思い出#ダンベル
おおまかなウー!ハー!の歴史
ウー!ハー!を使った曲はかなり古くから存在し、少なくとも1960年の「Chain Gang(Sam Cooke)」に確認できる。
その後、ウー!ハー!は
・特に意味がない?合いの手として(hoo-haは騒ぎの意味。騒がしいイメージ?あとエッチな意味のスラングでもある)
・カンフー・格闘技のイメージ
・アジア圏のイメージ
・プロレスのイメージ(日本独自。橋本真也(プロレス)の入場曲に使用されたため)
・野生・ゴリライメージ
といった複数のイメージと関連付けられた。
それが近年になって、特に日本において筋肉のイメージと結びつけられたらしい。
2010年を過ぎた頃から突然だが確実に、ウー!ハー!と筋肉のイメージは結びついているようだ。
2017年のAmazon Prime dayでの売り上げトップがプロテインになるなど、筋トレ人口が増えていることが原因のひとつ?
筋トレ界隈でのニュアンスが分からないので、ご存知の方の情報求む。
筋肉イメージのウー!ハー!
PCエンジンのゲーム「愛・超兄貴」BGM「ラストバトル(ウッ...ハ!)」(1995)
youtu.be
確認できた限りでもっとも古い。これが筋肉イメージのウー!ハー!の起源かも?
この曲だけでなく、道中のBGMにもウー!ハー!が確認できる。
youtu.be
なめこのうた(2011~2013? 福原遥)
「愛・超兄貴」から15年以上を経て、筋肉イメージのウー!ハー!を広めたのがこの作品?
ウー!ハー!ウー!ハー!マッスルなめこ!の歌詞にあわせてなめこがボディビルポーズ?を取る。
「おかあさんといっしょ」内の体操コーナー「ブンバボン!」(2014~)
『テレビの前のみんなも力持ちポーズを取って~(力こぶを見せる)』
というところから、筋肉イメージと思われる。体操の最初に「ウー!ハー!」がある。
「ブンバボン」は恋のダンスサイトの「恋をするたび胸ボンボバボン」からのオマージュ?
みんなのリズム天国(2011 Wii)「レスラー会見」
ウー!ハー!かどうか微妙なラインだけど、これも筋肉イメージ。
そして2019年の「お願いマッスル」「よいまちカンターレ」に続く。
ウー!ハー!の歴史
元祖まで辿れたかどうか怪しいけど、確認できた限りで最も古いウー!ハー!作品は1960年のChain Gang(Sam Cooke)だ。
「That's the sound of the men Workin' on the chain gang」
(声が聞こえる。鎖につながれて働く男たちの声だ)
という歌詞なので、これも力を込める掛け声と思われる。
カンフーイメージのウー!ハー!
Kung Fu Fighting(1974 Carl Douglas)
カンフーと結びついた最初の例と思われるのが、1974年のKung Fu Fighting(邦題:吼えろ!ドラゴン)。
カンフーイメージも、力を込める掛け声に由来すると思われる。
英語Wikiによると、当時アメリカで空手が流行し、アジア武術の総称として「Karate」が使われるようになっていた。
そのため1971年のブルース・リーから流行が始まったカンフーのイメージは、まだ空手と混同されていたらしい。
レコードジャケットは正拳突きしているカール・ダグラス。
Kung Fu Fightingのイメージを受けてか、カンフーのイメージで使われている例は多い。
Chinese Kung Fu (1975 Banzai)
Banzaiはフランスの覆面グループ?よくわからない。グループ名のBanzaiは日本語の万歳?
これもKung Fu Fightingと同様に、カンフーと空手を混同している。
ウルフハリケーン(1980後半?ヤムチャのキャラソン)
ドラゴンボール本編で流れたのかな?
ポケットモンスター(1996発売)
格闘家である四天王シバのセリフ「ウー!ハーッ!」
カンフーというより空手家な風貌。かくとう系ポケモンを使う。
恋のダンスサイト(2000 モーニング娘。)
ジンギスカンのオマージュ。
ウー!ハー!の掛け声とともに正拳突きをしており、Kung Fu Fightingのジャケットイメージと思われる。
ウー!ハー!とは別シーンだが「あなたはむっちゃ!マッショ!してても」という歌詞があり、間接的だが筋肉との関連性がある?
映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」(2000)
1974年のKung Fu Fightingにあわせたムービーで、ウー!ハー!にあわせて正拳突きをしている。
これもKung Fu Fightingジャケットのイメージ。
Kung Fu Beat(2004 Chipz)
Kung-Fu(2018? Klika)
カンフーイメージの拡張?と思われるアジアイメージのウー!ハー!
ジンギスカン(1979 ジンギスカン)
ウー!ハー!で最も有名な曲と思われるジンギスカン。日本ではなぜか運動会で使われた。
歌詞内容は格闘・筋肉と無関係で、アジア圏のイメージとしてウー!ハー!が使われたと思われる。
要するに、ヨッ!ハッ!などの和風掛け声を欧米から見たら「ウー!ハー!」に聞こえるのではないか?という感じ。
このフリー音声でもウー!ハー!言ってますね。
舞哈BABY!! -WooHa-(2016? Gackt)
よくわからないけど中国の太鼓ゲーム曲?
GACKT LAST VISUALIVE「舞哈BABY!! -WooHa-」#GACKT#LASTVISUALIVE#舞哈BABYWooHa pic.twitter.com/n6RRlkbRxN
— がるま (@GARLM_YFCz) 2016年12月20日
2014年のタミル語のインド映画「Jigarthanda」(マフィアコメディ)の曲「Hoo Haa」
「ウー!ハー!」が使われるのは欧米からの視点だけではない。
インド人自身の自己イメージとしてもウー!ハー!は成立しているらしい。
Hoo Haa India Aaya India(2011)
同様に、2011年にインドで行われたクリケットワールドカップの公式曲としても「ウー!ハー!」が使われている。
2011年以前にも「クリケットの大会でインド人がHoo ha言ってるけどあれなに?」的な投稿があり、クリケットでの定番声援となっている?
日本独自?プロレスイメージのウー!ハー!
原曲はプロレスと関係ないが、橋本真也(プロレス)の入場曲に使用されたためにウー!ハー!がプロレスのイメージと結びついた。
橋本信也の名言に「時は来た」があり、「まちカドまぞく」に登場するメタ子も「時は来た」と言うので、そこからEDテーマ「よいまちカンターレ」でウー!ハー!が使われたのかもしれない。
原曲の歌詞を見ると
The jungle call(ジャングルが叫ぶ)
とともに「ウー!ハー!」があり、野生イメージでウー!ハー!が使われているようだ。
Welcome To The Pleasuredome(1984 Frankie Goes To Hollywood)
ジャングル・野生・ゴリライメージのウー!ハー!
Welcome To The Pleasuredome以外にも、ジャングル・野生イメージでウー!ハー!が使われている例がある。
古いものでは日米合作アニメ「キングコング」(1966~1967?)の日本版オープニングで「ウッハーウハウハウッハッハー」が使われている。
英語版は「ガオー」という感じで全然ちがう。
アニメ「ドンキーコング」ED「バナナ天国」(1999)
これは海外で製作されたものが日本に逆輸入されたもので、海外版のオープニング「Donkey Kong Country」でもウー!ハー!が使われている。
スマブラにおけるディディーコングのミームとしての「Hoo-Hah」があり、MAD動画も作られている。
けもののおうじゃ★めうめう(2017 五十嵐裕美)
け・も・の・だ・も・の(2019 どうぶつビスケッツ×PPP)
『けものフレンズ3 プラネットツアーズ』主題歌
これも野生イメージだろうか?
特に意味がなさそうな?ウー!ハー!
The Fugitive(1974 沢田研二)
みどりのマキバオーED 「とってもウマナミ」(1976)
www.youtube.com
Dancing In The Pleasure Land(1986 BOØWY)
バラライカ(2006 月島きらり)
曲自体は特に格闘技や筋肉と関係ないが、ニコニコ動画などで「バラライカ」を「やらないか」に変えた替え歌が流行。
もしかしたらウー!ハー!のイメージが変わったかも。
Bearforce1(2007 Bearforce 1)
ゲイイメージは「バラライカ」の替え歌が流行った日本だけのイメージかと思いきや、海外でも同時期にゲイグループの「Bearforce 1」が曲に「ウー!ハー!」を使っている。
Gloria(2009 Mando Diao)
それ以外のウー!ハー!
アイドルコンサートでファンが入れる合いの手としてウー!ハー!が使われることがあるらしい。
他にも、ラップにもウー!ハー!と似たような音が使われるようだ。(Woo Hah!)
軍隊での掛け声「Hoo-ah」もある。
ここに挙げた以外にもたぶんもっとウー!ハー!曲はあると思うので、探してみて下さい。