なんとなく日誌

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例のグラボRX470を改造してVRを始めよう

先日、未改造の例のグラボRX470でもそこそこVRができるという記事を書いた。
noroue4.hatenablog.com
その後、何番煎じか分からないけど例のグラボRX470を改造してみたので、改造したらできるようになることや、改造にあたっての注意点をまとめる。

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例のグラボRX470

改造したらできること

無改造の例のグラボでできること

Haswell以降のCPUとWin10を使えば、iGPU経由でVR起動可。(GoogleEarthVRは×)
ただしiGPU経由の分、大雑把に言ってGTX1050Tiくらいまで性能は劣化する。
AMDCPUの場合、おそらくBristol Ridge世代以降で可能。(WDDM2.0への対応が必要らしいので)
ただしAMDCPUの場合、マザーボードBIOSによっては対応していない。ASUSとASRockでは大丈夫そうだが、Gigabyteはダメっぽい。
(製品によっても違うかもしれない。)他メーカーは未確認。

HDMI一個目を有効化したらできること

性能劣化なしでVRを使えるようになるが、SteamVRを使うにはHaswell以降のCPUとWin10はやはり必要。
(※Zen2など、iGPUを持たないCPUとの組み合わせではVR不可)

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間違ったビデオカードに接続されています
それ以前のCPUだと、
「ヘッドセットが間違ったビデオカードに接続されています」
「このアプリケーションではヘッドセットとメインモニターを同じグラフィックスカードに接続する必要があります」
との表示が出て、起動しない。
(GoogleEarthVRは×)
ただし、SteamVRではないWindowsMRアプリはIvy以前のCPUでも問題なく動作する。

処理能力的にはGTX1060(3GB)よりやや劣るが、GPUメモリが大きい(8GB)のでVRChatへの適正が高い。
他のVRアプリでもGPUメモリの消費は大きくてGTX1060(3GB)はメモリ不足で性能を発揮できない場面が多いので、VR用としてはメモリ6GB以上のものがおすすめ。

HDMI二個目を有効化したらできること

性能劣化なし、かつIvy以前のCPUやiGPUを持たないCPU(Zen2とか)でもVRを使える。
GoogleEarthVRも動く。
GoogleEarthVRは独自仕様らしく、Haswell以降のCPUを使っていてもメインディスプレイとVRゴーグルを同じグラボに接続する必要があるようだ。
これでようやく普通のグラボっぽくなった。

改造してもできないこと

YoutubeVRで4K以上の360°動画を再生することができない。
ドライバがYoutubeのコーデックであるVP9の再生支援に対応していないため。
ほぼ全てのRadeonで対応していないが、一部Vega世代のAPUやNavi世代の5700、5700XTでは対応しているらしい。

改造にあたって

改造の概要は他のサイトで語られているので、実際に挑戦して感じたこと、気が付いたことをいくつか。
中学の頃に授業で触ったくらいで、ほぼ完全なはんだ初心者の感想です。

HDMI一個目の有効化

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改造する部分
一個目のHDMIは、この写真の赤丸部分に部品をはんだ付けすることで出力できる。
ファンを外すだけでアクセスできる場所なので、GPUクーラーまで外す必要はない。
コンデンサや抵抗部品を実装しなくても、ジャンパー回路やはんだブリッジでショートさせるだけでフルHDモニタ程度なら一応の動作は可能。(砂嵐になったりと、ちょっと不安定)
ただし、ジャンパー回路やはんだブリッジの難易度は部品を実装するより難易度が高くて罠だ。
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ジャンパー配線(検索より)
検索するとこのように導線をつないでいる画像が見つかるのだけど、基板から垂直に導線を生やすのは難しいうえ、ちゃんとくっついてるかな?と思って触るとランド(回路表面の薄い金属。部品をはんだ付けする場所)に大きな負荷がかかる。
てこの原理が働くので、下手に触ると簡単にランドが剥がれてしまう。
実際、検索してみるとジャンパー回路に挑戦してランドが剥がれてしまった人が多いので、はんだ技術に自信のない人ほどチップ部品を用意した方がいい。
そしてVRゴーグルは高解像度かつ高フレームレートなので要件が厳しいらしく、VRが目的であれば4列全部実装する必要がある。(ゴーグルによって違うかもしれない)

部品はこちらのページを参考に購入した。→[例のグラボ] HDMI有効化の関連部品と入手先及び価格一覧 [RX470]

HDMI二個目の有効化

HDMI二個目の有効化は、GPUクーラーを外さないと部品を実装する場所にアクセスできない。
ここからちょっとハードルが高くなる。
二個目のHDMI端子は自分で実装しなければいけないのだけど、差し込む穴がはんだで埋まっていて、取り除く必要があるからだ。
特にGNDにつながっている穴は配線を通して熱が逃げるので、はんだごてで溶かすのはほぼ不可能。
なのではんだごての他にヒートガン、もしくはドリルが必要になる。
今回はドリルではんだを貫いたけど、十分な出力を持つヒートガンがあればそちらの方が失敗の心配が少ないかもしれない。

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ドリルを使う箇所
実際にドリルを使う必要があるのは大きい穴2個と、小さい穴5個。それ以外ははんだごてで溶かしてはんだ吸い取り器で吸い取ることができる。
小さい穴は0.4mm径のドリル、大きい穴は1.0mmのドリルがおすすめ。
細かい作業になるので、ドリルはピンバイスという手回しドリルがおすすめ。
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タミヤのピンバイス
ドリル刃もピンバイス用がおすすめ。
同サイズのフライス盤用ドリル刃も売っているけど溝の周期?間隔?が違うので余裕がなく、逆回転させないと抜けない感じで余裕がないので、うっかり折れやすいと感じた。
ピンバイス用でもうっかりすると折れるので、できれば予備があった方がいいけど単品で買うとちょっと高め。
使ったのはこのタミヤの極細ドリル刃セットの0.4mmとプロクソンドリル10種セットの1.0mm。結構高くついた。
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タミヤ極細ドリル刃セット